金魚姫[ 後篇 ]

 

王子      「父上、只今帰りました」 

国王      「あぁ、お帰り・・・よく無事で・・安心しましたよ」

 国王は、とても綺麗な微笑みを王子に見せながら、背後の人影に視線を移します。

国王      「王子・・・そちらの方々はどなたかな・・・?」

王子      「あぁ、こちらは体調が回復するまで世話してくれたザナルカンド王国の姫です」

姫       「おぅ、ヨロシクなっ!おとーさん!!」

 微笑を崩さないままですが、国王のこめかみには青筋が走ったようでした。

国王      「・・・私はあなたのお父さんではありませんので・・・・で、そちらは?」

金魚姫     「・・え?あ、あぁ!!オレッ・・こ、コンニチハ、おとうさんっ!!」

国王      「・・・いや、ですからお父さんではないんですが・・・・」

王子      「このティーダは、海に落ちたところを陸まで運んでくれたんです」

 国王の顔色に全く気付かない鈍感な王子は、にこやかに二人を国王に紹介しました。

国王      「この度は『私の王子』を助けてくれてありがとう、『暫くの間』ゆっくりしたまえ」

姫・金魚姫   「「は―――い」」

 国王の言葉には思いっきり含みを感じますが、どうにもこの二人には応えていないようです。



 国王は従者を呼び、姫達を部屋に案内させると、王子を手招きで傍に召しました。

国王      「・・・・王子、本当に無事で・・・私を心配させるなんて、いけない子ですね・・・」

王子      「・・・ち、父上・・・すいません・・」

 国王の指先が、王子の顎を引き寄せます。

 王子は、その妖しい微笑みに、思わず目線を逸らしてしまいました。

国王      「こちらへいらっしゃい・・・」

 国王がパチンと指を弾くと、奥から青くて大きい従者が白い袋を持ってきました。

従者キマリ   「キマリ、これ持ってきた」

国王      「ご苦労、暫く誰も入ってこないように」

 その白い袋の中から、国王は荒縄を取り出し、両端をピ・・ンと引っ張ります。

国王      「・・・さぁ、お仕置きですよ・・・・・」

王子      「・・・父・・上・・・あぁ・・っ・」



 どうやら、変態な親子だったみたいですv



 その頃、金魚姫は海の見える部屋に案内され、窓から大海原を眺めていました。

金魚姫     「・・・あぁ、みんな今頃・・何してるッスか・・・」

 王子に逢いたい一心で飛び出してきたものの、海の仲間達がどうしているのか気になりました。

???     「・・・め・・・・姫・・!・・金魚姫!!」

金魚姫     「・・・?・・誰ッスか・・?!」

 声の主を辿ってゆくと、海面に仲間の金魚の姿が見えました。

金魚姫     「あぁっ!!みんな・・」

 金魚姫が慌ててベランダに出ると、金魚たちはそのすぐ傍まで近付いてきます。

金魚リュック  「金魚姫っ、これ・・・」

 仲間が差し出したものを、金魚姫は戸惑いながら受け取りました。

金魚姫     「・・・これ・・・?」

黒金魚ルールー 「・・あの魔女から貰ったのよ・・・」

 それは、大きなバリカンでした。

金魚リュック  「それで王子の髪を刈れば、金魚姫は元に戻れるんだヨ!!」

金魚姫     「魔女がそんなモノを・・・?もしかしてみんな髪をあげちゃったッスかっ?!」

金魚リュック  「・・・まさかぁ!!」

黒金魚ルールー 「・・あの頭の触覚、1本燃やしながらお願いしたら、くれたわ」

 この二人は怒らせないようにしよう、と金魚姫は心底思ったようです。

黒金魚ルールー 「とにかく、これで王子を丸坊主にすれば、あなたは戻れるの」

金魚姫     「・・・そんな、オレにはできないッス・・・!!」

金魚リュック  「そんなこと言ってっちゃダメ!!」

黒金魚ルールー 「そうよ、やるのよ!」

 仲間の言葉に、金魚姫は即答できません。

黒金魚ルールー 「所詮は人間と金魚・・・結ばれないわ・・・」

 金魚姫の表情が固まりました。

金魚リュック  「・・・待ってるよ・・」

 仲間は力強い言葉を残して海へと帰っていきます。

 金魚姫は、手の中のバリカンをじっと眺めました。

金魚姫     「王子を・・・・」



 みんなが寝静まった夜、王子の部屋の中にユラリと人影が揺れます。

 金魚姫でした。

金魚姫     「・・・・王子・・・」

 規則正しい寝息を立てる王子の傍に近付き、手の中のバリカンを握り締めます。

王子      「・・・・・ん・・」

 暫くその寝姿に見惚れてしまいました。



 夜着の袷が微かに寝乱れ、胸元が外気に晒されます。



金魚姫     「・・・・う・・・・」



 ぷちっ



 金魚姫の理性が飛ぶ音のようです。



金魚姫     「・・・お、王子ぃぃぃ――――っっ!!」

王子      「・・・ん・・・な、なんだ・・っティ・・・っ」

 自分に覆い被さって来る金魚姫の姿に、王子は驚いて跳ね除けようとしてしまいました。

 その瞬間・・・

金魚姫     「 あ 」

王子      「 あ 」

 王子の指が金魚姫の『髪』に絡まって・・・・

 パサリ

 金髪の塊が床に落ちたのです。



 一瞬、シ・・ンとした空気が流れます。



王子      「・・・ティーダ・・・お前・・・・」

 王子に見られてしまった金魚姫は、

金魚姫     「・・知られてしまったからには・・・笑われる前にヤルッス!!」

 何か言いかけた王子を組み伏せ、一気に野望を果たしに(笑)かかりました。

金魚姫     「王子―――っ」

王子      「・・や・・・め・・・あぁっ・・・」



 王子もいろいろな方をお相手に、大変ですねvv



 一時間後・・・



王子      「・・ティーダ・・・お前、カツラだったのか・・・?」

金魚姫     「・・・笑いたいなら・・笑うといいッス・・」

王子      「・・・・・・・・俺は・・」

 バタン!!

 その時、王子の部屋の扉が大きな音と共に開かれました。

姫       「やっぱりだぜ!おめー部屋にいねぇと思ったら、ちゃっかり来てやがった!」

国王      「しかも、しっかりと『私の王子』に手を出した後のようですね・・・?」

金魚姫     「・・・・・うっ・・」

 最強とも言うべきツーショットに凄まれて、金魚姫は反論することも出来ません。

 国王は乱れた王子の夜着を調えながら、その表情を覗き込みました。

国王      「・・・王子、はっきりさせましょうか?」

王子      「・・・・え・・?」

 その隣に、姫も歩み寄ってきました。

姫       「そーだそーだ、おめぇは誰がイチバンなんだ?」

 金魚姫も、どうせ海の泡に消えるならば、当たって砕けようと決心します。

金魚姫     「・・・王子・・・ホントの気持ち、聞かせてほしいッス!」

 三人の真剣な眼差しに、王子は戸惑います。

王子      「・・・俺は・・・・」

 考え込む王子の言葉を、一行は待っていました。

王子      「・・・父上は・・もうずっと一緒にいる人です・・・離れるなんて考えられない・・」

国王      「あぁ、そうでしょうとも・・・王子・・・」

 国王は満足気に微笑みます。

王子      「・・姫は・・・その・・・凄く・・上手くて・・・ヨカッたんで・・」

姫       「おぅ!オレ様に任せればいつでも天国連れてってやるぜ!!」

 姫は嬉しそうにガッツポーズをします。

王子      「・・ティーダは・・まだ・・・逢ったばかりで・・・でも・・・」

金魚姫     「・・・・王子ぃ・・・」

王子      「・・・でも、実は・・・俺は・・・坊主頭に・・弱いんだ・・」

金魚姫     「・・・・・へ?」

 そう。

 実は王子は、『スキンヘッドフェチ』だったのです!!

王子      「・・・ものすっごく・・・好みなんだ、その頭・・・」

金魚姫     「お・・・王子ぃぃ!!」

 金魚姫は半泣きで喜びました。

 王子が嘲笑うどころか、こんな自分が好みだと言ってくれたのです!

 この頭に益々磨きをかけることを心に誓う金魚姫でした。

王子      「・・・すまない、誰か一人に決めるなんて・・・できない・・・」



 がっくりと項垂れる王子を前に、三人はそれぞれの顔を見合わせます。

 そして。



一同     「じゃーんけーん、ぽん!!」

姫      「・・・おっしゃぁ!!オレ様がイッチバン!」

国王     「・・・仕方ないですね・・・では、二番を決めましょう」

金魚姫    「おっし!じゃーんけーん、ぽん!!」



王子     「・・・・あ、あの・・・」



国王     「・・・ふふ・・・では私が二番ですねvv」

金魚姫    「・・・くぅぅ、負けたッス・・・・!」



王子     「・・・おい・・・皆・・・?」



 三人は揃って王子に微笑みます。

国王     「ご安心なさい」

姫      「ちゃーんと順番どーり、可愛がってやっから!」

金魚姫    「オレの番まで、頑張ってほしいッス!!」

 王子は、全身から血の気が引いていくのを感じました。



 こうして、四人は(約一名を除いて)いつまでも、いつまでーも、楽しく過ごしましたとさ。

 めでたしめでたし・・・・うふvv



 遅ればせながら、今回の物語の語り部をさせていただきました、ユウナと申しまーす。

 あっ、ちなみに今回のお話は、やや(笑)フィクションでーす!











scince 29 Apr.2002












ほんとに、なんだこりゃ(笑)
いいのか、こんなんで・・・自分喪失・・・

それでもまたやるんだよ、この女(笑)

 

 

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