子供遊戯
喜納昇華さま/ 紅の螺旋さま |
「さぁ、アーロンおいでv」 ブラスカはにっこりと微笑みながら、焚き火に木をくべるアーロンを手招きする。 「久しぶりにアレ・・・やらないかい?」 自分の膝をポンポンと叩きながら、優しい穏やかな瞳でそう言った。 「アレ?」 ジェクトはブラスカの言葉に?をいくつも飛び交わせる。 「アレ・・・ですか?」 アーロンはチラとジェクトを見て、「ちょっと・・・」と言う。 「見られてるのがイヤ?」 「はぁ・・・まぁ・・・」 ブラスカとアーロンはジェクトを見た。 「何だ!?オレが居たらダメなのか?」 訳がわからないまま邪魔者扱いされているジェクト。 「ダメという訳ではないが・・・あまり好ましくない」 「私は構わないケドね」 「何だ何だ?訳わかんねぇぞ」 二人だけで通じている”アレ”という何か。ジェクトは疎外感から不貞腐れた表情になる。 それを見て、ブラスカはクスクス笑った。 「ま〜た、嫌な笑い方しやがって」 クソッと舌打ちするジェクトを他所に、アーロンは木をくべる手を止めて、ブラスカの側に歩き出した。 それでもやはり、ジェクトの事が気になるらしく、アーロンは戸惑いながら、 ブラスカの側に膝をつく。 「や・やはり・・・」 アーロンはブラスカにお願いするように、優しい笑みを浮かべるブラスカを見上げた。 「あーダメダメ。そんな顔したって許してあげないよ。さぁおいで」 ブラスカはもう一度アーロンに手を差し伸べる。 「・・・わかりました」 観念したアーロンはブラスカに手を乗せ、身体をのそりと動かす。 そして膝の上にちょこんと座った。 まるで子供が親の膝に乗ってじゃれるように、アーロンはブラスカの膝に腰を降ろす。 「な!何してやがるんでぃッ!!」 ジェクトは目を丸くして声を上げた。 「何って、コミュニケーションですよ」 「コ・コミュニケーションって!!」 そんなコミュニケーションのとり方ってあるか!?とジェクトは珍しく一般論を語ってみせる。 「や、やはり変なんですよ!!止めましょうブラスカ様ッ」 ブラスカはそんなことお構いなく、アーロンの腰に腕を伸ばすと、ぎゅっと抱きしめる。 「どこが変なんですか?私はこうしてユウナを可愛がることもできなくて淋しいんですよ」 なでなでとアーロンの頭をなでる。 どうやらアーロンはユウナの代わりらしい。 しかも時々、こうして寂しさを紛らわせていたようだ。 今まで目を丸くして驚いていたジェクトは、ブラスカの言葉を聞いていきなり涙目になる。 そして、そうかそうかと頷き始めた。 「わかるぜ・・・その気持ち。ティーダ・・・なつかしいなぁ〜〜」 想いを遠きザナルカンドへ飛ばすジェクト。 「なぁブラスカ。オレにもさせてくれねぇか?」 膝に乗せたアーロンを我が子のように可愛がるブラスカを見て、ジェクトはオレもオレもと身を乗り出した。 「いいですよ。ジェクトもこの気持ちわかるでしょう?」 「ちょっ・・・ブラスカ様ッ!?」 ひょいとアーロンをジェクトに渡すと、今度はジェクトの腕の中にすっぽりと納まる。 アーロンは背後から抱きしめる強い腕と乱暴な仕草で頭をガシガシと撫でられた。 「あ〜〜〜コレだよコレッ!!」 ジェクトはアーロンの頭を撫でてご満悦。 めちゃくちゃに撫でられているアーロンはにこやかな笑顔を見せるブラスカを前に複雑な表情を向けた。 ブラスカに撫でられるのとは裏腹に乱暴な撫で方。 こんな風に乱暴だから子供に嫌われるんだ!と心の中で悪態をついてみる。 「ティ〜〜〜ダァ〜〜〜(泣)」 スリスリと擦りつけられる髭がチクチクして痛い。 アーロンは眉を顰めながらそれでもジェクトの腕は何故だか温かくて、心地よかった。 何度もぎゅうっと抱きしめられたり頬擦りされた後、やっとアーロンは解放された。 ヒリヒリする頬を撫でながらアーロンはジェクトに「もうこれが最後だからな!」と言って離れた。 「ブラスカ様!ブラスカ様も金輪際こういうことは止してください」 優しい瞳を見せるブラスカ。そしてアーロンの頭を撫でながら肩口に顔を寄せ囁いた。 「キミも・・・父親になれば、この気持ちがわかるようになるよ・・・」 「オレはまだ・・・ッ!」 ポンと肩を叩いてその横を通り過ぎる。 「ハハハ、子供はいいよ。とても可愛い」 「ブラスカ様!!」 笑いながらジェクトの側へと歩いていくブラスカ。 アーロンは、ジェクトとブラスカの背中を見て、どうしてあの二人はあんなに淋しそうで、 でも温かいのだろう?と考えた。 scince 13 Sep.2002 |
紅の螺旋さまのキリバンを 踏んでいただいた作品でゴザイマス! 相変わらず昇華さんのブラスカ様・・・ カッコよすぎ・・・(溜息) オマケに裏Ver.までいただいちゃったです!! 昇華さん、ありがとうございます!! |
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