eve last night for you

 

最後の夜を すべて捧げて

 きっと 笑える







「アーロン」

 ブラスカの差し出す掌が、ランプの光に揺れる。

「・・・おいで」

 魔法のように、その掌に自分のそれを重ねた。











 究極召喚を手に入れた。

 もう、戻ることのできない運命。

 何度も、何度も、この運命を恨んだ。



 ブラスカを慕い始めてから、どのくらい経つのであろう?

 脳裏に、様々な思い出が過る。



 気高く、美しく、そして強い。

 もしも、自分がこれから先を生き延びて行っても、自分の主は他にない。

 誰も、他に誰も自分は支配できない。



 おそらく、ブラスカはずっと昔から自分の想いを知っていたであろう。

 敬意という形の下に隠された恋心を隠し切れる程、器用では無かった。

 だが、ブラスカは気付かない『ふり』をしていた。

 否、

 してくれた。



 決して、結ばれることのない結末を知っていたからなのか?



 そして、この最後の夜に

「・・・ブラスカ様・・・」

 禁断の扉を叩く。

「・・・・ずっと、貴方が・・・・好きでした・・・」

 もう、会えないから。

「・・・俺を・・・憐れに思うなら・・・・」

 壊れるくらいに。





「          」



 声には出さない。

 唇だけ、形どる。



「・・・・おいで」

 穏やかに、緩やかに微笑みながら、ブラスカはその掌を差し出した。









 最後の夜を 饗宴して 踊り明かす

 きっと 笑えるから



 眩しいくらいに きっと 笑えるから
















scince 16 May.2002








最近、ブラアー不足で酸欠です(笑)
ですが、ブラアーで一本書くのは気力を使います。
こんなもので、ごめんなさい

私、焦ってます・・・

 

 

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