再会したのは、ルカであった。
その時、初めてアーロンがこのスピラにとって、どんなに『偉大』な人間なのかが判った気がした。
ワッカを始め、全ての人達が『伝説のガード』と口々に囃し立てる。
自分にとっては、唯、いつも『傍に居てくれた人』でしかなかったのに。
ともかく、今夜はルカの旅行公司で一泊しようという話が、いつのまにやら決まっていた。
「・・・どうした、バスルームは使わんのか・・」
そう言いながら、ベットに腰掛けるアーロンの夜着の隙間から、暖かい蒸気の混じった空気と、石鹸の香が漂う。
微かに、ティーダは身震いした。
ベッドに転がったまま、ザナルカンドの出来事を、ふと思い出す。
当時、自分のファンだという女の子が『付き合いたい』と告白してきた。
本当の意味も判らないまま、唯の好奇心という名の『恋愛ゴッコ』をしてみた。
そして、その娘と気持ちが逸るままに、身体を繋げた。
だが、それが奇妙な違和感を引き起こす。
『レンアイッテ コンナ カンジョウ ?』
結局彼女とは、その日の夕方に喧嘩別れする羽目になった。
気持ちと心の快感が、なんだかしっくりとこなかったのだ。
その夜、アーロンが家にやってきて、学校のことやブリッツのことや、いろいろ話し込んでいった。
髪を掻き上げるアーロンの仕草に、時折、視線が行く。
さっきの、彼女への感覚に似た、だがそれとは比べ物にならない不可思議な情欲。
そして、口をついて出た言葉。
『アーロン・・・のこと・・・・スキ・・』
だが、返ってきた言葉は
『・・・・早トチリは、せん方が・・いいぞ・・・』
それ以来、一度も同じ言葉は告げていない。
確かに、錯覚なのかもしれなかった。
その日の初めて自分の身で経験した『コト』が、奇妙な余韻となって引き起こしただけなのかもしれなかった。
それでも、今、ここで再び湧き上がる感情。
この『想い』は、なに?
愛を知らない自分。
この『想い』は、なに?
このスピラに独りでやってきて、何もかも独りで。
ザナルカンドでのアーロンの存在は、あまりにも当たり前で。
でも、ここではそんなことを考える余裕すらなかった。
何時しか、ティーダは眠りに落ちる。
独り、膝を抱えて寝息を立て始めるティーダを、アーロンは唯黙って見詰めていた。
そっと腕を伸ばし、金の髪に触れる寸前に、腕を引く。
再び空色の瞳を開いた時は、窓の外が薄っすらと白み始めた頃であった。
自分の隣の寝台で、規則正しい呼吸が聞こえる。
アーロンに近付くと、その緩く閉じられた唇をじっと眺める。
無精髭が、実年齢以上にこの男の風格を上げている気がするが、この髭を綺麗に削ぎ落とし、この髪を綺麗に纏めたら、きっと今以上に端正な顔立ちに磨きがかかるに違いない。
と、いうより、そんな彼を知っている。
『・・・誰にも、知られたくないッス・・・』
ポツリと呟きながら、今更の様に自分のココロに気付かされる。
『こんなにも、スキ』
もう一度、告げてみたら、どんな風に返事をしてくるのであろうか?
以前は、その言葉の意味も理解し切れないまま、唯言葉に載せてみただけであった。
だが、今は。
『早トチリ』なんて、『誰か』が勝手に決めたボーダーライン。
越えてしまえば、こっちの勝ちなのだ。
そう。
もう一度。
「アンタが一度降ろした幕、オレがもう一度、上げてあげる・・・」
もう一度、挑戦。
scince 7 feb.2002
ティアロなんですが
アロティに見えます・・・。
要精進努力・・・(爆)
この続き、裏に作ろうかなーと・・・
いえ、絶対大したことないんですが・・・
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