金色の天と白銀の星



■ 金 \ ■



 元来頭の良い鷹通は、出された本も丸一日で読破し、二日目には
親戚関係の書類も何とか頭に叩き込んだようであった。だが、性格
だけは簡単に変えることは出来ない。何度もジェイドにそれでは優
しすぎると言われたが、それでも鷹通に取っては大きな努力であった。
「そういえば、星の都の総督の資料はないようですが・・・どのよ
 うな方なのですか?」
 自分の都の長とはいえ、一般の民に総督が姿を見せることは滅多
にない。噂では大層な遊び人で、何人もの貴族の姫を泣かせる美丈
夫らしい、という事くらいしか鷹通も知らなかった。
「彼については、正直私もよく存じ上げないね」
「幸鷹さんの、養子縁組先なのにですか?」
「・・・・・そうだね」
 意外に突っ込んでくる鷹通に苦笑しながら、ジェイドは答えた。
「何でも、美しいものが好きな方らしいよ、人でも・・・・・物で
 も、ね」
「・・・・・・はぁ」
 鷹通は返答に困った。それは、星の総督が幸鷹を所望した理由の
ひとつなのだろうか。そう言えば、あの金のブローチも相当美しい
ものであった。
 そこまで考えて、鷹通はふと思う。あのブローチの本当の行方は
一体何処なのだろうか?自分や頼久が偽者に掏りかえるなどありえ
ない。だとすれば、あの使者殿が・・・だが、それならばあの場で
あそこまで取り乱すだろうか?後は鑑定士・・・・。
「あと、これは噂なので確証はないのだが・・・」
 ジェイドの声に鷹通の思考は遮られる。
「欲しいものは、どうあっても手に入れるらしいが・・・飽きるの
 もお早いらしい」
 そう呟くジェイドの微笑みがあからさまな嘲笑に見え、鷹通は胸
中で首を傾げた。彼は星の総督をあまり快く思っていないのでは、
という疑問が頭を掠める。
「まぁ、ともかく・・・今はこれを早く完璧にしてしまうことだね」
 宴まで、あと半日しか残されていないのだから、そういい残すと、
ジェイドは鷹通の部屋を後にした。









20050124





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