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■ 金 12 ■ 「幸鷹殿」 ジェイドの声も無視し、鷹通はつかつかと足を進める。そのまま 母屋を抜け、離れ家まで早足で通り抜けた。 「幸鷹殿」 「・・・・・・・・・・」 「幸鷹・・」 「違います!!」 三度目の呼びかけに鷹通は振り返った。 「私は『幸鷹』じゃない!」 「落ち着きなさい」 ジェイドは鷹通の肩を掴み、正面を向かせる。鷹通は唇を噛み締 めながら、ジェイドから顔を背けた。 「何と言われても、あの場には戻りません!貴方に叱られても、私 は・・っ」 頑と言い切ろうとジェイドの方を見た瞬間、 「いいんだよ」 その表情を見て鷹通はその先が言えなくなってしまった。 「あれで、いい」 ジェイドは満足気に微笑んでいた。 「あの瞬間の振る舞い・・・君は幸鷹そのものだった」 「・・・・・ジェイド・・さん」 「華美を嫌い、自分の真実を貫く・・・あそこにいた誰もが、幸鷹は 健在だと思っただろうね」 ジェイドは恭しく一礼し、鷹通の手を取る。 「君は、天の総督だったよ」 自分の向こう側を見ているジェイドの瞳が、鷹通はどこか恐ろし かった。 20050128 |
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