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■ 銀 X ■ 『相変わらず、誰にも厳しい』 『あの正義感はいかがなものか』 周囲からぼそぼそと聞こえてくる声が、否応なしに友雅の耳に入る。 貴族の甘い汁を吸い続けている人間にとって、幸鷹の厳格さは鼻に つくらしい。 それにしても、本当にあの時港で出会った若者と彼は違う人物な のだろうか?身形や物腰は多少違うが、内側の雰囲気というのは簡 単には変わらない。あの若者に、あの場面で啖呵を切る度胸がある とも思えなかったが、人の心は憶測では計れないものである。人を 見る目には自信があったのだけど、と内心呟いた。 『だが、あのジェイドをいつまでも傍に置いているのもどうか』 『いくらお父上が連れて来たとはいえ、あんな得体の知れない男を』 ふと飛び込んできた言葉が、友雅の耳を傾けさせた。普段はこう いった噂話は興味がないのだが、何故だか自分によく似た男の話題 に好奇心が沸いたのだ。 『幸鷹殿も、趣味が悪い』 『褥でいいようにされて、毒気を抜かれたか』 「・・・・・・・・・・・・・」 ふぅん、と小さく呟くと、突き返された木箱をアクラムに放るように 渡す。別に天の総督が誰と関係を切り結んでいても、友雅は関係 ない。今までそのつもりであったし、これからもそのつもりであった。 幸鷹が自分の元にやってきても、何をするつもりも正直なかった。 だが、今日この場で、その考えに多少の変化が起こってしまっ たことを、友雅自身が自覚するのは少し先の事である。 木箱を渡されたアクラムは、その場からゆっくりと離れる。人目を避けるようにカーテンの陰に紛れると、蓋をそっと開き、中のコイ<ンを確かめるようにそっと指先で触れた。 「美しいものなのに・・・勿体無いことだ・・・・」 仮面の向こうの瞳が、うっすらと妖しげに輝いていた。 20050128 |
金色の天と白銀の星 |
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