金色の天と白銀の星



■ 絢 U ■



 船を降りると、あまりの警備に鷹通は声を失った。それは、天の総督、つまり自分がどれだけ重要な存在かを知らしめている。ただの、街人にしか過ぎなかった自分が。
 三ヶ月程度しか離れていないが、鷹通には故郷が様変わりしたように感じた。目線が違うだけで、こうも町並みは変化するのか。華やかな色に包まれた都は、決して貧しい闇が潜んでいるようには見えない。ここからの眺めしか見たことがなければ、貴族が一般の民の思いを汲み取るなど、夢のまた夢なのだろう。
 ゆっくりとこちらに近付く友雅の姿が視界に入った。相変わらず、微笑みを浮かべたままの綺麗な顔。
「よく来たね」
「・・・・はい、宜しくお願いします」
 微笑まないままの鷹通を、友雅が車まで促す。そのすぐ後ろにジェイドと泰明が付き従った。
「こちらが、執務室」
「・・・・はい」
 鷹通はいろいろと戸惑っていた。車の中から館の中まで、自分を案内してくれるのが、まさか星の総督自身だとは思いもしなかった。友雅の振る舞いは、決して堅苦しくもなく時々笑い話を交えてのものであったから、苦にはならなかったが。
「そして、ここが君の部屋」
 開かれた扉の中に、足を踏み入れる。鷹通は少し驚いた。
「・・・・・・・・・・」
 思ったよりもシンプルな造り。壁に掛けられた静物画以外に下手な調度品などは一切置かず、家具も木素材そのままの質素なものである。ただ、素材としては決して安物でないことも見ればすぐに判る。
「お気に召さないかな?」
「・・・・・いえ、良いお部屋です」
「そう、頑張って選んだ甲斐があったというものだ」
「・・・・・・友雅殿が?自ら?」
「あまり華美なものはお好きでないと思ったのだけど?」
「・・・・・・ありがとうございます」
 友雅の微笑みに、鷹通もここへ来て初めての笑みを漏らした。









20050205





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