金色の天と白銀の星



■ 絢 12 ■



「面白い」
 アクラムは明らかな嘲笑を浮かべる。
「止めるか、我を・・・さて、どのように?」
「少なくとも、多勢に無勢。この状況では、例え誰か一人を倒しても、残った他の者がお前を捕らえるでしょう」
「ほう・・・その誰か一人を犠牲にして、か?」
 幸鷹の言葉を、アクラムはあっさりと翻した。
「やれやれ」
 暫し幸鷹の背後に黙って佇んでいた男は、半ば愉快そうに溜息を吐く。
「相変わらず私の主は、黙っていれば無茶ばかりなさる」
「・・・・・・・・・・・・・」
 茶化すような言葉に、幸鷹がキッと振り返った。
「誰のせいで、ここまで大事になったと?」
 さぁ?ととぼけるように首を傾げる男に、
「・・・おまえとは、後でゆっくり話しをしましょう・・・いろいろと言いたい事が、山のようです」
「ふふ、楽しみにしているよ」
 この緊迫した状況で遣り取りされているとは思えない会話に、鷹通は唖然と見守るばかりである。
「後、か・・・お前たちにそれがあるとでも?」
 再びアクラムの銃口が動く。その先は、幸鷹に向けられた。
「幸鷹さん!」
「・・・・・・・・・・」
 向けられた鈍い光に、当の本人は全く動じる気配はなかった。
「鷹通」
 背後を振り返らないまま、自分の名を呼んだ人物に答える。
「本当に、すまないことをしました・・・無謀な要求をした挙句、こんな危険な目にまで」
 いえ、と鷹通は首を振る。
「元は、私自身の嫌疑なのです」
幸鷹さんの責任ではありません。
「・・・・・・・・・・・・」
 鷹通の眼には、幸鷹の背が微かに微笑んだように見えた。
「麗しい友情はそこまでだ」
 冷ややかな声が、正に場に水をさす。
「私が、何の計算もなしに一人で乗り込んで来たと?」
 アクラムがいやらしい笑みを浮かべると同時に、
「アクラムさま!!」
バン、と部屋の扉が開く。

「逃げてください!!」
 金の髪の少年が叫びながら転がり込んだ。









20050806





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