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■ 絢 13 ■ アクラムの目線が、ほんの少し逸れた瞬間だった。 生物のようにしなった紐が、アクラムの手の中を弾く。 「・・・・・・!」 カラ、という音が室内に響き、回転しながら鈍色の塊は入口の扉脇まで滑って行った。 にやりと笑うジェイドの手に、再び紐先が舞い戻る。 「・・・・・・」 「さて、形勢逆転・・・というところかな?」 ジェイドの言葉を、アクラムは意にも解さぬ風で、背後の少年を一瞥した。 「セフル、何事か」 「ア、アクラムさま・・・どうかお逃げください!」 「何事かと聞いている」 「・・・・・・・っ・・あのっ、火がっ・・・・」 「火?」 「館が、燃えているんです・・・!」 言葉を裏付けるように、セフルの開け放した扉の足元から、灰煙が蛇のように忍び寄ってきた。 「・・・どうやら、嘘ではないようですね」 それを眼で追いながら、幸鷹はぽつりと呟いた。 「詩紋のヤツが・・・余計な事を・・・」 セフルの言葉尻とほぼ同時に、 ドン、 という空気が弾けたような大音が、そう遠くない場所から響く。 瞬間、アクラムの身体が沈んだ。 「?!」 気付いたジェイドが、一歩進み出るとほぼ同じくして、アクラムの拾い上げた銃口から、弾けるような銃声が響いた。 「翡翠ッ」 20050915 |
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