Rebersible Man 13





「盗られた?!」

 重なるふたつの声に、鷹通は
「・・・・・申し訳ない・・・」
押され気味に呟いた。

 あのまま、痛む身体を無理矢理引き摺るように帰った鷹通は、部屋に入るなりそのまま泥のように
眠った。
 あまりの様子に、ミソノは何も言えず、一方でユカリはただ心配するばかりであった。
 ともかく、歩いて帰ってきたからにはグライダーも何処かに置いてきてしまったのであろう。まぁ、ア
レから足のつく心配はあるまい、とミソノは考え、ともかく鷹通が起きるのを待った。

 そして、翌朝、正確にはもう正午を回っていたが、起き上がった鷹通から夕べのいきさつを聞いた
双子の第一声がそれだったのだ。
「一体、誰に盗られたのだ?!」
「・・・盗られたというか・・・預かってしまわれたというか・・・」
「だから何処の誰なのだ?!」
 とても子供とは思えない迫力のミソノを、ユカリが兄様、と宥める。
「名前は・・・友雅、と名乗ってらっしゃいました」
「・・・・ともまさ?」
「えぇ、マンションのネームプレートは『橘』とありましたので、『橘 友雅』さん・・・でしょうか」
「・・・ふむ・・・で、何者なのだ?」
 そう聞かれることは鷹通も承知していた。
「・・・・・・わかりません」
 そう答えるしかないことも。
 実際、あんな数分の間に友雅のことを知り尽くすのは難しかった。だが、鷹通は自分が記憶してい
る限りの情報を、出来るだけ克明に二人に話す。

 グライダーが急に何かに引っ張られるように落ちたこと。
 目覚めれば友雅の部屋のベランダにいたこと。
 藤姫という、ユカリによく似た少女がいたこと。
 友雅に、花を返してほしくば今日再び訪ねるように言われたこと。

「・・・・・・解せぬな・・・・一体何が目的なのだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 多分、ない。
 そう言い掛けて、鷹通は言葉を飲み込んだ。

 あの飄々とした態度には、正直『策略』よりも『好奇心』を感じるのだ。
 まるで、面白いことを見つけた少年のように。

「その男、もっと詳しく調べた方が良いのではないか?」
「ですが兄様・・・・今はあの花をこちらに戻すことが一番大事ですわ」
 うむ、そうだな、とミソノはユカリに相槌を打つ。
「行ってきます・・・・そして」
 どういった状態であれ、自分の落ち度は言い訳しようがない。

「きちんと返していただきます」






2004.10.07 


長い・・・

本当に終わるのか
不安になってきました…





NEXT

ウインドゥを閉じてください

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送