Rebersible Man 14




 まだ午前中のせいか、駅のロータリーは予想以上に人が出入りしている。
 車から降りると、幸鷹は運転していた部下に署に戻るように命じた。
 無論、部下には一人で出歩くことを拒まれたのだが、確信のないことに人手を使いたくない。強引
に車を出すように命じ、それを見送ると、ロータリーを歩みだした。

「やぁ」
 ガードレールに腰を預けて妖しげに微笑む顔が眼に入る。
 昨日の今日で、あまりに見知った顔である。

「奇遇だね」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
 片手を上げる男の脇を、幸鷹は無言ですり抜けた。
「冷たいね、刑事さん」
「公務中ですので」
 つかつか歩いてゆく背中を、ジェイドはカメラを肩に提げたまま追いかける。
「・・・・・・・・・・・・・・」

 何が奇遇なものか。心で舌打ちしながら幸鷹はペースを上げて歩く。

「・・・・・・・・・・・・・・」
 付かず離れずの距離を保って後をついてくるジェイドに、
「・・・・・どこまで着いて来る気ですか?」
幸鷹はくるりと振り返った。
「方向がたまたま一緒なのかもしれない、とは思わないのかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 確かにまだ歩き始めて5分足らず。確率としてはありえない話ではない。
 しかし胡散臭さこの上ない発言。一瞬片眉を顰めるが、そのまま元に向き直り幸鷹は再び歩み始
めた。

 更に3分程度歩いて辿り着いたのは、昨夜の男のマンションであった。
 調べたところ、あの部屋の名義は某芸能事務所の社長になっている。だが、このポストに書かれ
た表札の名は『橘』。名義と違う名である。
 例えば、所属のタレントを住まわせているのかもしれない。芸能関係ならありがちな話だ。
 そんなことを考えながら、振り返る。
「・・・・・いい加減になさい」
 幸鷹はまだ自分の背後にいる男を睨みつけた。
「これ以上は公務執行妨害にもなりかねません」

 真正面から見詰める綺麗な眼差し。
 こんなに何事にも一生懸命で、果たして疲れることはないのだろうかと、思わずジェイドはぷっと噴
出してしまう。

「・・・・・・何がおかしいのですか」

 いや、違うか。
 何事にもではない。目的のために一生懸命なのだ、この目の前の若者は。

「いや・・・すまない」
 また見出した幸鷹の一面に、ジェイドは笑いを堪えながら、
「・・・参ったね」
エントランスのポストを指差した。
「本当にここに知り合いがいるのだが?」

「・・・・・・・・え?」

 その指先にあるのは、夕べ幸鷹が訪ねた503号室のポストであった。




2004.10.07 


よ、ようやく
頼むから・・・
早く出会ってくれw白虎!!(笑)






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