Rebersible Man 21






 藤姫が友雅の元へやってきたのは、半年程前のことであった。

 仕事を終えた友雅が部屋に戻ってみると、ベランダに小さな少女が倒れていた。
 何というのか、和風とも中華風とも取れるような、幾重にも重ねた色とりどりの不可思議な衣装を
身に纏い、大きな金の額飾りを付け、顔に少しばかりの煤を付けて、まるで眠るように横たわってい
たのだ。
 最初は面倒ごとは御免だと思い、すぐに警察に届けようかと思った。だが、あまりに作り物のよう
な形に、動くのを見てみたいという衝動に駆られ、目覚めるのを待つことにした。
 そして、その姿は正に動いた『人形』であると確認する。

 目覚め、『藤』と名乗った少女は、名前以外の一切を覚えていなかった。
 とてもその見たばかりの歳とは思えないような高貴な振る舞いをする。そう。まさに昔語りの貴族
の姫のように、背筋をしゃんと伸ばし、両手を揃え、深々と礼をした。

 その立ち振る舞いから、友雅は少女を『藤姫』と呼び、それを本人も何の抵抗もなく受け入れてい
た。

 極端に人を嫌い、警察に行こうと外に連れ出すと、隣の住人の姿が見えるだけで友雅の背後に隠
れ、がくがくと身を震わす。
 その上、新聞の集金に来た若者の姿を見た途端、もの凄い悲鳴を上げ、気を失ってしまうという出
来事まで起こったのだ。

「・・・・申し訳ありません、何故だか・・・他の方が恐ろしくて・・・・」
 そう呟いて震える彼女を見て、友雅は思ったのだ。この少女を警察に渡してしまったら、どうなって
しまうのだろうか。
 仕方ない、と彼女の気分が落ち着くまで、
「では、私がいない時はきちんと鍵を掛けなさい・・・誰も入れてはいけない」
そう教えたことで、友雅はこの少女を暫く預かる決心をした。
 藤姫との、不思議なきっかではあったが、その生活はずっと一人で暮らしてきた友雅に取って新鮮
な日々であった。
 唯一、彼女が脅えなかったマネージャーに暫く預かることを告げると、
「女遊びが減る」
とだけ言われ、友雅は苦笑いしたものである。

 そして今。

 部屋に入ると、
「おかえりなさいませ!」
明るい笑顔で迎えてくれる花のような少女。


 友雅に取って、それは何時しか大きな存在となってしまった。






2004.10.11 

やはり

友藤なのかしら(笑)







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