Rebersible Man 22






 ジェイドは幸鷹に覆い被さるように、眠る顔を覗き込む。右の首筋を確かめるようにシャツを少し引
くと、そこには小さく薄緑に光るガラスのような塊が浮き出ていた。

 巻き込んでしまったか。

 『こちら』に来た時、自分が記憶を正常に保っていることに気付いた翡翠は、これ幸いと責務など
放り出していた。
 好きで始めた職務ではない。「お前にしか出来ないから」と強引に冠位を与えられ、束縛されてき
たのだ。
 自由奔放を好む翡翠に取って、この上なく窮屈で苦痛しかない毎日から解放された。
 他人がどうなろうと知ったことではない。冷たいと言われるかもしれないが、自分が大事なもの以
外は、翡翠には本当にどうでもいいのだ。

 『こちら』に来て、カメラというものを知った。
 ファインダーを通すと、元来の能力から『そのもの』の魂までも見える気がして、それが面白く夢中
でシャッターを切った。
 名前も変え、今までと決別して、この世界を楽しんだ。
 だが、人間の魂は見るのは辛い。自然に宿る聖霊と違って、何かしら渦巻く野望、欲望、それまで
もレンズは映し出してしまいそうで。
 だから彼は人間は撮りたくなかったのだ。
 
 そして、初めて自分で捉えてみたいと思った幸鷹という存在。
 だがそれが、逃げ出した責務の代償を彼に負わせてしまったように思う。
 自由の裏に潜む責任。もう長いこと自由を失って、そんなことも忘れていたのかもしれない。

(自業自得か・・・)

 ジェイドがそんなことを考えていると、
「・・・・・・・・う・・・・・ん・・・・」
幸鷹の手が動き、己の顔に掌を当てた。額にかかる髪を無意識にかき上げながら、薄らを眼を開け
る。
「やぁ、おはよう」
「・・・・・・・・・・・・・・・?・・・」
「身体はどこか痛むかい?」
「・・・・・?!」
 目の前にある顔に慌てて身を起こしかけるが、起きることでジェイドと余計至近になり、幸鷹は慌て
てもう一度ベットに寝転がった。

「・・・・・ここは・・・私は一体・・・・」
「幸鷹さん!」
 鷹通が心配そうな顔をして、リビングからこちらへ小走りで駆け寄った。
「・・・鷹通・・・くん」
 ジェイドがベッドから退くと、鷹通は幸鷹の顔を申し訳なさそうに覗き込む。
「すみません、私が巻き込んでしまったばっかりに・・・」
「・・・?・・・一体・・・?」
「貴方に私の力が入り込んでしまったようで・・・・・」
「・・・・・力?・・・・」
「あぁ、これでは訳が判りませんね・・・・」

 鷹通の顔が、真剣な色に変わった。
「貴方には、総てを聞く権利がある」

 そう言われ、幸鷹はベッドから起き上がった。

 隣のリビングに全員で集まると、

「幸鷹さん・・・・私が『白虎』なのです」

という幸鷹の予想を超えた言葉から、それは始まったのだ。








2004.10.11 


半分以上すぎた・・・
・・・と思う。







NEXT

ウインドゥを閉じてください

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送