Rebersible Man 23





「白虎・・・鷹通くんが・・・」
 幸鷹は呆然と繰返した。

「そして、これからは君が白虎だね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 右隣に座ったジェイドが何気なく言った言葉を、幸鷹は聞き流しかけてふと気付いた。

「・・・・・・・・・誰がですか?」
「君が」
「・・・・・・・・・何ですって?」
「白虎」
 幸鷹の眉間にぐっと皺が寄る。
「・・・・・・・・・・・・私が白虎・・・?」

「コレがあるからね」
 そう言いながら、ジェイドは幸鷹の首筋に指を這わせた。
「・・・・・・・・?!・・」
 突然の感触に、幸鷹は驚いて身を引き、
「・・・・何をッ?!」
自分の首を庇うように右掌で覆った。
 そして、その瞬間に気付いたのだ。
「・・・・・・・え?」

 何かある。

 壁に凭れて立っていた友雅がくいくい、と指で何かを示す。その先には姿見の鏡が置かれてい
た。
 幸鷹は立ち上がると、鏡の前に立ち、恐る恐るワイシャツの襟を開く。
「・・・・・・・これは・・・・」
 ガラスのような薄緑の珠が、右の首筋に貼り付いていた。
「申し訳ありません・・・先程、私の力が戻りかけて暴走を始めたのです・・・」
 鷹通がちら、と目線を向けた先には、バラバラに花弁を散らした牡丹の残骸があった。
「力と記憶が強引に戻ろうとしたからですわね・・・・・」
 同じ場所を見詰めながら、藤姫も呟く。
「痛みから逃れたい余り、目の前にあった鏡のような幸鷹さんに押し付けてしまった・・・」

 材料が足りなく意味がよく理解できないが、どうやら鷹通が何かしたことでこの珠が出来たらしいこ
とを、幸鷹は察した。
「わかりました、だがこれは私の日常生活に何か影響を与えるのですか?」
「・・・・・・あのカメラ、どう見えますか?」
 鷹通に促され、ダイニングカウンターにあるジェイドのカメラに眼を向ける。
 ぽぅ、と薄紅の発光体がカメラを包んでいるように見え、幸鷹は一度眼鏡を外す。もう一度掛け直
し、しっかりと見てみるが、
「・・・・・・・・・・あの光は・・・一体・・・?」
やはりうっすらと赤い光がカメラを覆っていた。

「すみません、私もそれがないと・・・自分で『白虎』が出来ないのです」
 申し訳なさそうに呟く鷹通の姿と、
「幸鷹殿、こうなりましたのも何かのご縁ですわ」
真剣に頷く藤姫の顔が、鏡に映った。
 意味が判らずぽかんと見守る友雅と、込み上げて来る笑いを必死で堪えるジェイドが見守る中、
「・・・・・・・・待ってください」
 幸鷹はくるりと振り返り、
「これは一体なんですか?!何故・・・私が白虎になるのですかっ?!」
収集のつかない状態に、思わず声を荒げていた。

「ご説明します」
 鷹通は微笑みながらそう答えた。

「・・・・・・あの微笑みが恐いと思うのは、私の気のせいかねぇ・・・・」
「いいや、本当に恐いと思うよ」
 友雅の呟きに、自分の経験談を交えて答えるジェイドであった。







2004.10.12


予測通り(笑)








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