Rebersible Man 25





「幸鷹さん」
 くるりと幸鷹の方を向き直ると、鷹通は厳しい表情を浮かべていた。
「貴方を巻き込んでおいて、こんなことをお願いするのはとても心苦しい・・・だが、私達にはもう選択
の余地がないのです」
「・・・・あの・・・・鷹通くん・・・」
「お願いします、力を集めるのに・・・どうか協力してください!」
 有無を言わせない迫力だったが、幸鷹もはいそうですかと言う訳にはいかない立場である。
「協力と言われても・・・私は警察の人間です!」
「私にその宝珠が戻らない限り、自分では何も見えないのです・・・・どうか・・・!」
 懇願されるような眼で見詰められるが、やはりうんとは言えなかった。その姿に、ジェイドは胸中
「頑張るねぇ」と呟く。
「では、どうすればこれを鷹通くんに戻せるのですか?」

「私のモデルになることだね」

 突然、脈絡もなく入ってくるジェイドに、
「何故そんな結論になるのですか?!」
思わず幸鷹は苛立ってしまう。
 だが、いつもの飄々とした態度でジェイドは続ける。
「言っただろう、私の力は『回収する力』だと?」
「・・・・・・・・・・あ・・・」
 鷹通は思わず声を上げた。
「そうです!翡翠殿に『宝珠の力』を捕らえていただければ・・・」
「・・・・・・ただね、問題があるのだよ」
 嬉々とした鷹通に水を差すようにジェイドが呟く。
「相手が物ならばいい・・・ただ映せばいいのだからね、だが人間となると・・・」
「・・・・・・・・・?」
 要領を得ない答えに、幸鷹は首を傾げた。
「今の私の力では、君が私に対して持っている警戒心で・・・力を『捕らえる』ことへの壁を生む」
「・・・・・・・警戒心・・・」
「だから、人間相手はいろいろ厄介なのだよ・・・」
 ジェイドへの警戒心は、幸鷹の本能から生まれてくるもの。その上、石橋を叩いて渡る気質であ
る。それを今すぐに心を開けというのは無理な話であった。
 それ以前に、この不可思議な話を自分の中で消化しきっていない。
「君が、身も心も許してくれるのが一番早いんだが・・・」
 ぽそりとジェイドが呟くと、
「お断りします」
またも即断され、苦笑いした。

「ではどうする、刑事さん?」
「・・・・急には・・・・・無理です・・・しかし、私に盗みなど・・・・」
 困っている人間を助けたいのはやまやまであるが、心の問題だけはどうにもならない。だからと
言って、こんな確証のない話に納得して、警察の、しかも立場のある自分が怪盗行為を行って、万
が一にも世間に知れる事になってしまったとしたら・・・。

「大丈夫ですわ、例え白虎となっても、貴方を危険な目に合わせることはいたしません!ね、翡翠
殿?」
「・・・・・それは、私に刑事さんの手助けをしろと言うことかな、藤姫?」
「今までさぼっていらっしゃった分は、しっかり取り戻していただきますわ」
 苦笑いするジェイドに、藤姫は、当たり前です、と言い放った。
「その上お二人の親睦が深まれば一石二鳥でございますもの」
「・・・・・・・・・・・・なるほど」
 ぽんと手を叩くジェイドに、
「納得しないでいただきたい!」
幸鷹の言葉がどこまで効果があったか不明であったが。
「しっかり幸鷹殿をお守りくださいませ、翡翠殿」
 自分を置いて話がどんどん進んで行くのに、幸鷹は必死で歯止めをかけた。
「ですから無理です!私は今、白虎追討の責任者なのです!その私が白虎が現れる時にいないな
ど・・・・」

 それでしたら、と
「アリバイが必要ならば、ご協力します」
鷹通が自分と同じ顔で微笑んだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 もう幸鷹に逃げ場は無かった。








2004.10.13 

友サマ・・・

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