Rebersible Man 29






「・・・本当だねぇ」
 他人事のように、友雅の鎖骨の間に光る宝珠を眺める。
「だろう?」
 こちらもまた他人事のようにニットの襟刳りを引っ張った。
「・・・・・翡翠殿・・・友雅殿・・・」
 一番他人事ではないように、鷹通は深く溜息を吐く。

 駅で幸鷹を見送った頃、ジェイドの携帯が鳴った。友雅から、ちょっと話を付け足したいと言われ戻っ
てみると、
「どうも、君の宝珠とやらがここにあるらしい」
と、友雅が襟を開いてみせたのだ。

「翡翠殿のカメラでは、友雅殿の宝珠は確保できませんか?」
「無理だろうね」
 鷹通の問いに全く考える間もなくジェイドは即答した。
「しかし・・・」
「無理だよ」
 食い下がろうとする鷹通に、友雅もはっきりと言い切る。
「そんな、試してもいないのに」
 眉を顰める鷹通に、
「試したんだよ」
友雅が微笑みながら答えた。
「三日前、私はジェイドに写真を撮ってもらっている」
「回収できるものなら、その時とっくに出来ているさ」
 そう言いながら、ジェイドは脇に抱えたカメラを覗き、ファインダー越しに友雅を捉える。
「残念だね、鷹通」
 そう言いながら口元に笑みを浮かべる姿は、やはり絵にはなるなとジェイドは思った。同じ顔をしてい
ても、友雅には『華』があった。

「こちらの問題は一先ず後回しだろう、先ずは・・・・」
 幸鷹の方。口にこそ出さないが、鷹通もジェイドもそう思っていた。
「あの刑事さんに、泥棒をやれというのを説得するは・・・かなり至難の業だろうね」
「そうですね・・・確かに、幸鷹さんにも立場がおありでしょう」
 ふむ、と鷹通は眼鏡に手を掛けながら考える。
 ファインダーに写しながら、正直ジェイドは鷹通のこの仕草にあまりお目にかかりたくないことを再認識
していた。何しろこういう時の彼は、持てる力を駆使して目的を成そうとして何か考えているのだから。
 この後、ろくな目にあった記憶がない。
「・・・翡翠殿」
 徐に鷹通が口を開くと、
「ここは、貴方が幸鷹さんを口説いていただくしかないでしょう」
やはり、とんでもないことを言い出した、ジェイドは思った。
「相変わらず大胆な事を言うね」
 構えたカメラを下ろしたジェイドが、ニヤと笑う。その類の微笑に、鷹通は一瞬首を傾げると、
「・・・・・・!・・・・ち、違います!!」
その笑いの意味を漸く解して鷹通は慌てて弁解する。
「私が言っているのは、翡翠殿に幸鷹さんと親しくなっていただいて、被写体になっていただくこと
 を・・・・」
 わたわたとなる鷹通に、友雅もひっそりと横槍を入れる。
「なるほど、まぁ親しくなるには口説くのが一番だけどね」
「友雅殿!!」
 鷹通は頭を抱えたくなった。
「ともかくです!」
 だが、今は少しでもこの状況を改善しなければ、神子の力を回収することは出来なかった。

「何とか幸鷹さんには、協力を仰がなければいけません」
 再び、鷹通は眼鏡に手をかけ、ふぅと溜息を吐いた。








2004.11.04


なんだかよく考えると
スゴイ構図ですな・・・
地が二人に天一人(笑)






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