Rebersible Man 5





 ガスマスクを外すと、
「申し訳ありません・・・」
高いびきで眠る屋敷の住人達に、鷹通は本当に申し訳ない表情で呟いた。

 屋上に囮のグライダーを全部で5機飛ばし、その隙に侵入。と同時に屋敷内を無色煙に巻いて住
人達を眠りの世界に追い込んだ。
 我ながら、鮮やかだと少し感心してしまう。しかし、この作戦の大部分はミソノの策である。侮れな
い少年だと、今更に恐ろしくなっていた。
 だが、今はそんなことを考えている場合ではない。

 屋敷の奥までどんどん入って行くと、鷹通は目的の部屋らしき場所に辿り着いた。
「・・・・・・・・・ここ・・か?」
 ウエストポーチから、ミソノの創った造花を取り出す。
「・・・・・・・・・・!」
 造花から柔らかな光が放たれる。そこから一筋の光が伸び、壁際の絵画を照らし出した。

「・・・あそこ、ですか」

 趣味のあまり宜しくない、リアルタッチな裸婦画に手を掛ける。が、壁に完全に接着されているの
か、裏返したりすることは出来ないようであった。
 鷹通は暫く黙ってその絵を眺める。胡坐をかき、乳房を持ち上げた女の真正面図。自分が眺めて
いるものに、少し気恥ずかしくなった鷹通は絵から目を逸らしかけた。
 が、その時あることに気付く。
 油絵なので、絵の具を盛り上げるように描かれているのは当たり前なのだろう。だが、胸の谷間に
小豆程度の不自然な膨らみがある。しかも、よく見ると指紋がついていた。
「・・・・・もしかして」
 その盛り上がった部分をそっと押してみると、

がたん

「・・・・・・・やはり悪趣味ですね」
苦笑いしながら眺めていると、そのまま絵画が横にスライドし、隠し金庫が現れた。
 手の中の牡丹が、再び輝きだす。触れてもいないのに、金庫のダイアルがからからと回り始めた。

この光景を初めて見た時は鷹通もかなり驚いたが、7回も見ていれば何となく慣れてしまうもので
あった。

 がちゃり
「・・・・・・・・・・・・・」
 まるで自動ドアのように、金庫の扉がゆっくりと開きだす。その中にある幾つかの箱や札束の中の
一点を、牡丹は照らしていた。
「これ、ですか」
 鷹通がその箱を右手に取る。指輪などを入れておくジュエリーケースのような箱の蓋を、親指で押
し上げた。
 中に入っていたのは直径1センチにも満たない小さな真珠珠であった。うん、と確認するようにいろ
いろな角度から眺める。
 左手の中にあった牡丹をそっと近づけると放っていた光が僅かに増し、真珠珠を包んだ。そのま
ま真珠自身が光の球になって牡丹の中心にすぅっと吸い込まれて行く。
 完全に真珠が姿を消すと、鷹通は再び造花をウエストポーチにそっとしまい込んだ。

「・・・・・さて」
 今度はどうやって脱出するか。
 そう考えた瞬間、ギィ・・・と鷹通の入ってきた扉が開いた。

「・・・・・・・・・!!」

 先程、眠らせたはずの男が三人、ゆっくりとこちらに近付いてくる。並の人間ならば、1時間は目覚
めない筈の麻酔量だった。

 だが、そのぬうぼうとした表情から、『並』ではないことも瞬時に判ってしまった。








2004.9.27 


悪趣味な絵(笑)
本当は、チ○ビにしようと思ったんだけど
ちょっと私の理性が止めました(笑)






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